夫との出会い Part3 〜肩透かしの神宮花火大会〜
彼がパンを作って毎日のようにプレゼントしてくれるので、当時の私の朝食は、彼の作ったなかなか噛み切れない固いパンでした。
このパンを出勤前の忙しい時間に、食べるのは大変でした。
彼の手作りパンを初めてもらった次の日の朝食は、まさかこんなに固いパンだとは思わなかったので、噛み切るのに時間がかかり、このパンのせいで遅刻しそうになりました。
2日目は、少し早起きしてこの固いパンに挑んだものの、飲み込むまでに時間がかかり、やっぱり電車に乗り遅れそうになるので、一切れ食べきることが出来ないまま急いで会社に出勤しました。
3日目は、アゴが筋肉痛になり、断念しました。
ネタだと思うかもしれませんが、こんな固いパンに出会ったのは私の人生の中で初めてのことで、このパンを食べている姿はまるで『はじめ人間ギャートルズ』の骨付き肉にかぶりつく原始人、そのものかもしれません。
しかし、次第にこの固いパンが私の中で、1番好きな固さのパンであり、味であり、お店で買うパンがいまひとつ物足りないパンだと感じるようになりました。
病み付きパンといっても過言ではありません。
この固過ぎるパンを貰うため、私は、毎日例の公園にアン&チョビと散歩に行き、彼からパンを受け取ることが日課になりました。
彼とは前よりだいぶ仲良くはなったものの、会話の中身は依然として犬のこと、彼の父親のこと、新潟の家のことで、お互いのことはあまり多く話しませんでした。
“どうにか、もう少しお互いのことについて話すきっかけはないのだろうか・・・”
そんなことを考えていたある日・・・
いつものように会社から帰ると、最寄りの駅はゆかたを着た人々で溢れかえっていました。
“そうか!今日は、神宮花火大会だ!!!”
これは、二人が進展するいい機会だと思い、彼にメールを打ってみようと思いました。
“彼は、毎日パンを作ってくれるのだから、私の事が好きに違いない!”
そんな強気な自信もあったし、好きでもない人にパンなんて普通焼かないでしょう!?
しかし・・・この日の夜、私は1人+犬2匹、家のベランダでさみしく花火大会を鑑賞することになります・・
それは、神宮花火大会が始まる1時間前のことです。
“一緒に花火を観に行きませんか!?”
と彼が誘ってくるという確信があったので、家に帰ると、いつ誘われも良い様に会社着からオシャレ着に着替え、メイクを直し勝手にスタンバイしていました。
ですが、なんせ、シャイボーイなので私からメールした方が彼も誘いやすいだろうと考え、
ですが、なんせ、シャイボーイなので私からメールした方が彼も誘いやすいだろうと考え、
“今日は神宮の花火だね~”
というメールを送りました。
すると、予想通り、
“実はうちのマンションの屋上から花火が観れるんだよ!”
という返信メールがきたので、もうその先は言わなくても分かります。
“今夜、一緒に花火をみませんか!?”
はい、大正解、ハッピーエンドです!
...んが、しかし!このシャイボーイ、何を血迷ったか、
“それじゃ、花火楽しんでね~!!”
・・・(・_・)エッ....?
集合場所、待ち合わせの時間等は書いてないか、携帯の下ボタンを連打し、携帯の画面を何度も確認するも書いてない!!!
つまり・・・
今夜は、一人花火鑑賞会決定です!!イエーイ ((유∀유|||))
このシャイボーイ、ただのパン屋だったのか!?ならば、あのプレゼントパンは試食なのか!?
私のことは眼中になかったの!?私の早とちりなのか!?
次の日の朝食・・・このコンクリートのようなパンを噛み切る気力はありませんでした。
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