アンパンマンが1歳児をも魅了するワケ〜人気アニメから学ぶキャラクター作りの3つヒント〜
このところ、娘が「アンパンマン!」と頻繁に言うようになりました。
私たちは普段、アンパンマンを娘に見せたことがないので、娘がアンパンマンのキャラクターを知る由がありません。
ところが先日、本屋に立ち寄った際、天井に吊るされたアンパンマンのバルーンをみて「アンパンマン!!」と指を指して叫んだので驚いてしまいました。
“なんで知っているの!?”
夫と顔を見合わせ、もう一度娘の口元を凝視します・・・
きっと、保育園で覚えたのでしょう。
夫によると、廊下と玄関を仕切る間仕切りがアンパンマンのキャラクターが付いている柵なので、きっとアンパンマンを好きなお友達がその間仕切りを見て「アンパンマン!」と言うことで、娘も自然にアンパンマンを認識したのだと思います。
もうすぐ1歳8ヶ月になる娘には、これまでにも数多くの絵本やアニメ/子供番組を見せてきましたが、キャラクターの名前を覚えたのは今回のアンパンマンがはじめてです。アンパンマンがこれだけのヒット作になったのもうなずける気がしました。
それにしても、アンパンマンは何故ここまで子供たちに愛されるのか・・・
この疑問は、絵本作家を目指す人なら必ず一度は考えてしまう問いだろうと思います。
1歳の娘の心をわしずかみにする為には、単純に「素晴らしい絵」と「面白いストーリー」の2つの条件を満たせば良いというものでもないようです。
皆さんは、赤ちゃんが産まれてかなり早い時期から、人の顔を認識することができるという研究結果はご存知でしょうか!?
顔を認識する条件として、赤ちゃんは、対象物に目が2つ、鼻、口・・・この3つのパーツが揃っていれば、絵であっても“顔”と認識するようなのです。実験で、目を1つ取ってしまうと赤ちゃんの反応が薄くなったというデータもあります。
これらから分かることは、目、鼻、口が確認できる“正面” を向いた顔が重要だという事です。
だからシンプルな絵でも、アンパンマンのように “正面” を向いている絵は幼児を引きつけるポイントの1つだと思いました。
また、アンパンマンの顔は、絵描き歌にできるほど簡単に描けてしまうので、何度もアンパンマンの絵を描いて遊んでいるうちに親しみやすさが増すということも否めないと思います。
ちなみに、昨夜、夫がアンパンマンの絵を描いて娘に見せると大喜びし、「アンパンマン!」と連呼していました。私も娘に喜んでもらいたいので、絵心がないにも関わらず一生懸命アンパンマンの絵を描き娘に見せると娘が一言・・・
もっと上手く描けるように練習します・・・はい・・・(ToT)
更に子供でも分かりやすいストーリーでありながら、“分け与える優しさ”、“友情” 、そして “正義” という道徳的要素が盛り込まれているので、子供だけではなく親からの支持も大きい作品です。親がアンパンマンを支持することは、子供にアンパンマンのアニメ、絵本、玩具を与える機会を増やすことに繋がり、よって、アンパンマンはより子供達の身近な存在になるのです。
私と夫の子供の頃、ちょうどアンパンマンが流行りだした時代なのですが、子供のころのヒーローを挙げるとすれば、アンパンマンは外せないでしょう。
実家に戻ると初期の頃の「あんぱんまん」の絵本が数冊あり、ストーリーはほとんど覚えていないものの、あのキャラクターのイメージは頭から消えないんですよね。子供の脳に強烈な印象を残したという事を身をもって経験していたとはいえ、実際に自分の娘までもが同じようにアンパンマンに夢中になっていく姿を見ると、アンパンマンの凄さ、アンパンマンを生み出した、やなせたかし氏の発想力、構成力は革新的で天才的だと思います。
また、乳幼児の脳の発達について調べてみると他にも面白いことが分かりました。
赤ちゃんが最初に反応するカタチというのは “マル” なんだそうです。丸い顔、丸い鼻、丸いホッペに丸い目と、アンパンマンの顔は基本的にマルばかりで出来ていますよね。
そーいえば、子供が好きなアニメの代表作である「ドラえもん」や「機関車トーマス」も共通点はマルですね。
これから幼児向けの絵本を描こうとしている方、鍵を握るのは “マル” かもしれませんよ!
それから、乳幼児が識別しやすい原色系のはっきりした “色” を使うという点も重要なポイントです。赤ちゃんから幼児期にかけて原色を覚えていき、原色を覚えた後に他の色を覚えて行くというステップなのですが、幼児期の子供が好のむ色というのは、赤・黄・青だと言われています。ですから、この色を充分に生かして絵を描くことは子供の心をつかむ為の1つの手段であると思います。アンパンマンに例えるならば、赤=アンパンマンのスーツの色、黄色=アンパンマンの手袋、靴、ベルト、マーク、青=アンパンマンが飛んでいる時の空の色・・・こんな感じですね♪
今年は夫と共に絵本を出す事が目標の一つでもあるので、こうやってアンパンマンなどのヒット作から色々と学びながら日々勉強していこうと思います。
娘の存在はありがたいもので、彼女のリアクションは良い意味で私達大人の考える絵本の概念を覆し、新しいインスピレーションをもたらしてくれると思っています。そういう意味では、娘も絵本作りをする上で重要な役割を担うので、家族力を合わせて多くの人に愛される絵本を作れる様に頑張りたいと思います!
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