薪ストーブ生活から学ぶ人生の哲学
せっかくの3連休も台風18号が日本列島を縦断し突風に加え、50年に一度の雨量を記録し、京都では観光名所を濁流が襲うという大きな被害を受けました。こちら軽井沢も16日の朝にかけて大雨と突風が吹き荒れ、別荘地へと続く小道は木の葉や木々が倒れ、通行止めになった道もありました。
そんな週末だったので、気温も下がり肌寒く、夜は厚手の毛布を身体に巻き付けるようにして寝ました。夏の間、ヒンヤリとした場所を探して好き勝手な場所で寝ていた犬達も、一匹は夫の胸元で、もう一匹は勢いよくベッドの中に潜り込んで私達の足下で丸くなるので、寒さを感じたのは人間だけではないようです。
「もう冬支度しなきゃ・・・」
と、そういう犬達の様子から季節の移り変わりを知ることも少なくありません。
“冬支度” と言っても、東京に住んでいた頃は、冬物の準備をしたり、ソファーにブランケットを置いたり、ベッドに厚手の掛け布団を用意したりする程度でしたが、軽井沢での生活ではこれらに加えて、“薪” の用意をしなければなりません。
と言っても、“薪” の準備は今の時期から始めるのは遅過ぎるくらいで、薪を買うのなら別ですが、薪割りや薪干しは前の年の春〜夏頃から始めなければ、その年の冬に使う薪としては最適ではありませんし、薪の状態によっては2年以上干さなければならないものもあります。
火を起こす際に、“薪” の状態が要で、水分量が多いとなかなか火をつけることはできないし、くすぶって煙しか出ず一向に部屋が暖まることはありません。寒さが厳しい場所で、なかなか火を起こせないというのは辛いものがあります。
そんなわけで、夏の間も少しずつ夫は薪割りをして、冬に向けて冬支度をしていました。
薪割りをしていると『アリとキリギリス』の話を思い出してしまいます。
天気も良く、薄着でいられる夏に薪割りをしていると冬の寒さ厳しさを忘れて、ついつい「この程度で良いだろう」と甘えがでてしまうんですよね。
甘えた年の冬は後悔します(笑)
薪が足りないばかりか、充分に薪が乾いてないので、火が付いては消え、付いては消え・・・凍えそうになるんです。
ですから、薪を作るというのは簡単なことでもなく、労力も使います。
しかし、薪ができていようがいまいが関係なく、寒さは急に訪れます。
昨日くらいから軽井沢も冷え込んできたので、薪ストーブを使ってみました。
薪ストーブの好きなところは、優しいほんのりとした温かさ。温風とは違い、身体に負担がかかりません。
電気ストーブでは、この絶妙な暖かみと雰囲気は演出できません。また、薪が燃える火の様子はずーっと見ていても飽きる事なく、リラックスした気持ちになれます。
私も夫も暖房器具としてはもちろんのこと、薪ストーブのデザインや原理が好きなので、ハワイ移住を考えていた時ですら、ハワイらしい常夏の場所から遠く離れた、標高が高く冷え込むような町にある暖炉のある家に憧れていました。
>> ハワイ移住計画のその後・・・!ハワイ島に住むならどの町がイイ!?
“薪ストーブ” にしても “暖炉” にしても、こだわるとキリがないほどデザイン、使用法が違い、実は奥が深く飽きるものではありません。ブランドによっては値段が高く、簡単には手が出せないのですが、それでも、“欲しい!!” と思ってしまうほど、魅力があるんですよね。
今日は、軽井沢駅から車で15分ほどのところにある御代田という町にある薪ストーブ屋さん、“長野総商” に行ってきました。
http://www.naganosohsyo.co.jp/
店内には、アメリカ製、ベルギー製、イタリア製など珍しくカッコいい薪ストーブが販売されています。
長野総商の奥さんとお話ができたのですが、最近は薪ストーブが流行で “格好が良いから” “薪ストーブを使ってみたいから”
という理由でお店を訪れるお客様が多いと言います。
しかし、“薪” がいかに重要なのかも知りもせずに、薪ストーブを購入しようとするので、そのような場合、奥様は
「まずは1年間薪を作ってみてください。」
と言うそうです。
どういうことかというと、薪ストーブは “格好が良いから” という理由だけでは扱えないということなのです。木をチェンソーで切り、斧で薪を割り、薪を乾かし、ストーブの中で薪を組み立て火をつける・・・ただ単に、薪や木々を燃やせば火がつくという単純なものではありません。
薪に水分が多いと火はくすぶるだけで、部屋を暖めることはできませんし、ストーブの中でガスが充満しているにも関わらず、くすぶっているだけだろうとストーブの中をかき回したりいじったりすると消えてしまうので、火を起こすのにかなり苦戦します。
その為、高価な薪ストーブを購入しても薪との付き合い方が上手く出来ず、部屋の飾りになってしまう方も多いと言います。奥さんは、薪ストーブをとっても愛している方なので、そのようになってしまうのが残念だと仰っていました。
『Give and takeでしょ!? 』
と奥さんは言いました。
『この暖かさが簡単に手に入ると思ってはダメ。この暖かさを得る為に、こちら側も一生懸命尽くさないとね。』
奥さんの言葉1つ1つが胸に響きます。
最近では “人口薪” と言って、普通の薪より水分量が少なく、素人でも火を起こしやすいアイテムもあるのですが、“薪を作る” という行程に大事なメッセージが込められていると感じました。
都心ではなかなか薪ストーブを設置するというのは難しいかもしれませんが、薪ストーブ屋さんを訪れてみるのもとても面白いものです。是非!
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