日本人=寿司職人!?〜スペインの富豪に10人前の寿司を握れと依頼された話〜

11/12/2015 AppMama 0 Comments


1週間ほど前、ここスペインのハベアに住んでいる義父の友人宅に招かれたことがありました。

私達一家以外に4組のベルギー人の家族・夫婦らが招かれていて、ほぼほぼ皆、初対面という状況でした。招かれた方々はただならぬオーラを纏っていて、奥様方は見たこともない巨大なダイヤの指輪をはめ、旦那様方はこれまた見た事もないような高級腕時計を身に付け、葉巻を加え、クラシックカーで登場するという具合でございました。

ともあれハグを交わし、自己紹介をしたのですが、そこからは皆さんフランス語。

私達、まったく会話に参加できません。

会話に参加できない私達は、長テーブルでその富豪らと向き合いながら、何を話しているか分からない会話の内容についてただただ愛想笑いをし、ひたすら時が過ぎるのを待つしかありませんでした。その時間、なんと3時間!!
愛想笑いも3時間ほど続けると、苦痛の何ものでもありません(笑)

夫の顔を覗き見ると夫も居づらそうにしているし、愛想笑いも長時間続くと頬の筋肉がピクピクと痙攣しはじめ、2人とも “まいったな〜” と堪え難いものを感じていました。

そうこうしていると、富豪の1人がそろそろ帰ると言い出して席を立ちました。

オッシャーーー!!!

そのタイミングでようやく私達も席を立ち、あの拷問のように縛られていた長テーブルから隣の部屋にあるソファーに移り、あの重々しい空気からようやく解放されたのです。

ふぅ〜。

ようやく気が楽になったと思ったのもつかの間…。私達が移ったソファーに1人の富豪がやってきました。

そして私達に

「お前達は日本人って言ったよな?私達は日本食が好きなんだが、明日、我が家に来て家族・友人らに寿司を握ってくれないか?」

と葉巻を加えたオッサンから、ありえない依頼を受けました。

“あのね〜、日本人だからと言って皆が皆、寿司を握れるってほど寿司は簡単じゃないんでございますのよ。
シャリもただ握れば良いってわけじゃないし、それに皆が皆、寿司を握れたら寿司職人はいらないってもんでしょう〜”

と私は、夫に “丁重にお断りをするように…” と目配せしました。
それに、気軽なホームパーティーに呼ばれるのとは違い、この富豪の家族・友人らが集まる会で、それも私達が料理を振る舞うなんて想像できません。

ウン、絶〜対断わるしかな〜い!!!
いつ断わるの!?今でしょーーー!!!

んが...

「オッケー!オッケー!握りましょう!」

と安請け合いしている方が若干一名いらっしゃいまして…まさか…夫です。

おめぇ〜寿司なんて握ったことねーだろ〜(汗)酢飯も作れねーくせに、オッケー!オッケー!言ってんじゃねーよっ!!

でも、もう遅し。その富豪&奥様は喜んで、

「じゃあ、明日の朝迎えに行くから一緒に市場へまぐろを買い付けに行こう!切れ味の良い包丁も欲しいなら買おうじゃないか!」

と言って、上機嫌で帰って行きました。

その晩、

「シャリってどうやって握るんだよー」
「ネタってどう切れば良んだ〜」

と夫がパニック。そんな夫に

「おにぎりにしない!?おにぎり!!おにぎりなら作れる!!」

と、おにぎりを連呼する私。

寿司じゃねーしっ(笑)

ともあれ、次の日の朝、富豪は私達ニセ寿司職人を迎えにきてくれて、まぐろやら白身魚、サーモン、イカ、エビ…数種類の漁獲類を10人前を買いつけました。
そして “食事会は夕方の19時からだから、君たちを17時に迎えに来るよ” と言ってその富豪は、漁獲類を持って一旦帰って行ったのです。

ここからが大変!

「ユーチューブで握り方を検索してー!」
「あの富豪、イカなんかも買ってたわよ!イカのさばき方も検索してー!」
「そういや謎の白身魚も買ってた!あの魚、一体なんちゅー魚なんなんだー!!」

富豪が帰ってから魚の種類を検索し、ユーチューブで寿司の作り方を片っ端から見続けた上に、もう一度、私達だけで魚屋に戻って、富豪が買った漁獲類を買い直し、家でシャリを握る練習と寿司ネタの切り方を練習しました。

まぁ、大変!!

しかし、時間は待ってくれません。約束の17時になりました。

ユーチューブ動画に寿司作りを習った私達は、もはや寿司職人と呼んでもらってもいいレベル
…んなわけねー(笑)

もう、まな板の鯉ってやつで…やるっきゃありません。

富豪の車に乗って、富豪の家に着くと、そこはやはり富豪の家でありました!!





なんじゃこれ!

この家の凄さに圧巻されて、ますますプレッシャーがのしかかります。

とにかく、19時に富豪の友人らが集まるというので、夫とユーチューブでみた映像を思い出しながら、または富豪らがキッチンからいなくなると、すぐさまネットで各魚の切り方を確認しながら、得体の知れない魚をさばき、米を炊き、味噌汁を作り…

いやいや大変でした。

そうこうしていると、ぞくぞくと富豪の友人らが集まりました。
もう、一か八か…テーブルに寿司を並べるしかありません。


テーブルを囲んだ友人らは、さっそく寿司を皿にとり、口へと運びました。


もう大絶賛!!

「素晴らしい!美味しいわ〜!!」
「旨い!ブラボー」
「スペインに店を出すべきだ!」

もうスタンディングオーベーションってやつで、拍手が鳴り止みませんでした。

ただ、この方々の皿を見ると、醤油にご飯が浸っているわ、ネタとシャリを分けて別々に食べているわ、ナイフとフォークで寿司を食べるわ…

本当に旨いのかよっ!?

ってツッコミたくなりましたが…。

とにかく、私達スペインで寿司屋を開けそうです(笑)

そしてスペインに来て、いきなりこんな面白い出来事、そして富豪らの出会いに、人生は面白いな〜とつくづく感じずにはいられないのでした。

それでは、See you〜☆

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